台湾レトロ氷菓店_cov+obi縮小  
出版から5年以上経っても、今なお台湾の書店で面陳されている人気のエッセイ『遙遠的冰果室』(行人)が、このたび『台湾レトロ氷菓店 あの頃の甘味と人びとをめぐる旅』としてグラフィック社より刊行されました!著者はハリー・チェンさん、翻訳は太台本屋tai-tai books の店員Kこと、わたくし中村加代子が担当しました。

日本の喫茶店をめぐるのが大好きというハリーさん。ふと、日本の喫茶店に代わる台湾ならではの食文化とはなんだろうと、自身の生まれ育った土地を振り返ります。そのとき心に浮かんだのが、人びとの暮らしに寄り添う冰果室(氷菓店)でした。そこから、5年にわたるハリーさんの冰果室めぐりの旅が始まります。

IMG_4644_1

 素手で削られるかき氷、空飛ぶ団子、2階からパイプを通って注がれる紅茶、お見合いの席で出される高級コーヒー、子育て世帯を支える揚げパン……。

 台湾各地でハリーさんが出会うのは、一見すると台湾人にとって馴染み深いメニューでありながら、実はその店独自の背景があるものばかり。店主も個性的なら、店で使われる食器や椅子、看板、また建物だって個性的です。

IMG_0155_1
 しかし日本と同じく、台湾にも、再開発やチェーン店化の波が押し寄せます。あるいは後継者が見つからないため、半世紀以上にわたって営業してきた冰果室が、やむなく店をたたむことも。ハリーさんは、時間と競争するようにして、冰果室をめぐり続けます。

ある店で、ハリーさんが「物語」という言葉を使ったところ、おかみさんに、物語ではなく「時代」だと返される場面が登場します。まさにそれが、本書の本質を表しているような気がします。台湾の老舗冰果室をめぐるガイドとして本書を手に取ってくださった読者の皆さんも、ページをめくるうち、これが冰果室という食文化を通して、台湾の今という「時代」を鮮やかに切り取った記録だということに、気づかされるかもしれません。 

先日、台北でハリーさんにお会いした際、彼はこんな趣旨のことを言いました。「写真を撮るときは、一部だけにフォーカスするんじゃなくて、全体にピントを合わせるようにしている。そうしないと、そのとき、その場にどんなものがあったのか、後々振り返ることができないから」

 この本が、台湾の味わい深い冰果室をめぐる案内として重宝される一冊に、そしてまた、何年にもわたって大切に読み継がれる一冊になれば、訳者としてこれ以上うれしいことはありません。(K

 IMG_2158_1

=========================================

著者ハリー・チェンさん来日トークイベントのお知らせ

「台湾レトロ氷菓店散歩  ひんやりホットな小吃の世界へ」を開催します!
Hally Chen 個人照 橫-0
 日時:2019年7月13日(土)(6月15日(土)12:00より受付開始)

   140016001330開場)

場所:清澄白河「THE FLEMING HOUSE

   http://fleminghouse.jp/

定員:60名 【要事前申し込み】

参加費:2000円(台湾スイーツつき)


*詳細・申込は https://kokucheese.com/event/index/568684/ までお願いします。

*受付開始は615日(土)正午12:00です。
======================================== 

企画・主催:太台本屋tai-tai books

協賛:グラフィック社  協力:ferment books 

Sponsored by Ministry of Culture, Republic of China (Taiwan)

========================================