店員Sです。今年2019年も北京ブックフェア(8月21日~26日)前後で北京に来たついでに、北京市内の書店めぐりをしました。
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 ↑東単大街にある美しい「中国書店」のたたずまい。この周辺は、北京の伝統的な街並み「胡同」が多く残る。

 Sは20年ほど前、北京と上海で中国語を学びましたので、北京はいわばちょっとだけ古巣。
 もちろんそのころから北京の街の姿は大きく変わりましたが、土地勘だけはまだありますので、実質2日間ほどでさくっと数軒回っていきたいと思います。


 北京最大規模 図書館のような国営書店

【1軒目】 西単図書大大廈
 まず、Sが来ましたのは、売り場面積や書籍の扱い点数としてはたぶん北京で最大、北京市中心部「西単」にある巨大書店「图书大厦 (「図書ビルディング」の意味。以下「図書大廈」と表記) です。
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 ↑北京の建物はだいたいデカすぎてフレームに収まりません。

 現在、中国には国営の書店(店名や規模、スタイルは様々ですが、基本的には「新華書店」という一つのグループです)と、民営の書店があります。西単「図書大廈」も、新華書店の一店舗です。

 ビルの前は、巨大な「積ん読モニュメント」が。
 夏休みの小学生たちグループが記念撮影をしていました。(楽しそう……)
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 書店の建物の中に入ると、1F正面に、いかにも「中国国営!」ということがわかるディスプレイがドカンと鎮座。
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 図書館のように巨大な店内。
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 中国の書店で特徴的なのは、大きめの書店には必ずこうした「閲読席」があること。子供、学生、銀髪族まで、たくさんの人たちがその場で本を読んでいます。
  台湾の誠品書店と同様、店内の床での「座り読み」もふつうに見られます。
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 《暗恋桃花源》のタイトルが目に入ったので見に行ったら、台湾の劇作家・賴聲川の戯曲集のプロモーションディスプレイ(中信出版社)。装丁もセンスいいです。
 このように、台湾の文学作品なども結構入っています。
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 日本でも大ヒット中の中国SF《三体》(劉慈欣)《三体 芸術挿画集》(浙江人民美術出版社)を販売していました。作品中、ゲームとして再現される壮大な「三体世界」を描いた、迫力あるフルカラーイラスト満載!の豪華大判画集でした。
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●西単図書大廈
北京市西城区長安西大街7号
http://bjbb.com


ヨーロッパ風店舗デザインがオシャレな民営書店

 さて、次は民営の書店に行ってみましょう。(上の国営書店とのビジュアルの差にご注目)

【2軒目】 西西弗書店 SISYPHE

 こちらは西直門のショッピングモール「凱徳MALL」内にある「西西弗書店 SISYPHE」。
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 ヨーロッパの書店にありそうなウィンドーディスプレーがなかなか良い雰囲気です。
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 西西弗書店は、1993年に貴州省遵義市で開業(はっきり言うと、中国の中でも田舎です)。
「西西弗」とは、ギリシャ神話のシーシュポスのこと。オフィシャルサイトの説明によると、書店の経営という地味で忍耐の必要な事業は、転げ落ちる岩を永遠に繰り返し頂上までは運び上げ続けるシーシュポスの業のようにも見えるが、それでも上を向いてやり続ける意義がある、という意味で名付けた、とのこと(……つ、辛い……)

 その後、精力的に全国に店舗を増やし、2019年5月の段階で国内60都市に200を超える支店があるそうです。中国のチェーン書店の中でも最も勢いがある、と言ってもよいくらいの書店です。現在、北京にも20店舗ほどあるようですが、ここ凱徳MALL店が北京における旗艦店という位置づけだそうです。
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 店内にはこうした「島」が数多く設置され、新刊や売れ行き良好書が「面陳 (表紙が見えるように並べること)」されています。天井や書架が黒く塗られており、それとのコントラストのせいか、スポットライトが当たったように書籍のカバーがよく映えます。考えられた店舗デザインだと思います。

 ここでも読書コーナーは満席。
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 西西弗ではほぼすべての支店にカフェ「矢量珈琲 Up coffee」を併設。もちろん、雑貨コーナーもあります。
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 イギリス風かと思います。
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 中国の書店も、日本や台湾の書店と同様、書籍だけの売り上げではとても成り立たないので、近年はこのようにカフェや雑貨コーナーを併設した「複合型書店」が増えています。
 特に中国の場合、「再販制度でネット書店でもリアル書店でも書籍は一律定価販売」の日本や、「ネット書店や大手チェーン書店では割引販売当たり前」な台湾とは違い、「ネット書店では2割以上値引きで買えるが、リアル書店では割引なし」という、リアル書店に不利な状況がありますので、より一層、「書籍以外の部分での売り上げ」が重視されます。 

 そして、中国の書店が一番力を入れているのが児童書コーナー。
 中国の児童書市場は、毎年20〜25%ずつ伸びているとのこと。西西弗書店でも、児童書の品揃えが充実。親子が座って熱心に絵本を読んでいました。
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 絵本は、国内で編集しているものと、翻訳出版は半々くらいでしょうか。
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●西西弗書店北京西直门凯德店
北京市西城区西直门外大街1号 凯德MALL 3层
http://sisyphe.com.cn



再開発おしゃれ地区にオープンしたスタイリッシュ書店

【3軒目】 MUJI HOTEL BEIJING 内 BOOK LOUNGE
 3軒目は、地下鉄「前門」駅すぐのおしゃれ再開発ブロック「北京坊」入り口にある「MUJI HOTEL BEIJING」。前門の辺りは、清代からの商店街で、東京で言うと浅草的なところですが、北京坊のあるこの通りは、古くから銀行の本店などが立ち並んでいた金融ストリートでした。
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 その1Fロビーに本のセレクトショップ「BOOK LOUNGE」があります。ホテルのロビーなので24時間営業だそうです。こちらももちろん民営です。
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アート、民芸、生活、旅行などの品揃え。
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 無印良品の「人をダメにするソファ」完備です。
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 店員SがMUJI HOTELロビーBOOK LOUNGE で買った本。Sのアイドル、民国時代の画家、散文家、翻訳家、豊子愷の関連本。生活の中に見出す楽しみや美に関する散文を集めた《有趣生活ーー豊子愷談日常之美》(江蘇鳳凰文藝出版社)と、雑誌「知日」の「再認識 豊子愷」特集号
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●MUJI HOTEL BEIJING
北京市西城区煤市街 廊坊头条21号院2号楼

(ちょっと脱線)
中国のブックデザインの進化は目覚ましいのですが、豊子愷の《有趣生活ーー豊子愷談日常之美》のカバー可愛くないですか? 。両足に子猫乗せてるんですよ!?
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そして、豊子愷本人もこんな萌え写真で有名です。
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猫に慕われてますね。


大手民営出版社が運営する 北京の新ランドマーク的書店

【4軒目】Page One 北京坊店
 前門・北京坊、MUJI HOTELの数件隣にある、スタイリッシュな24時間営業書店Page One 北京坊」。(注:今回写真が撮れなかった部分があるので、一部、昨2018年8月の写真を使用しています)
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 もとはシンガポールの書店ブランドですが、北京では民営の大手出版社・新経典文化が運営しています。北京の新しいランドマーク的書店です。3フロアあります。
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 天井まである書架。
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この辺は梯子があるので上の方にも手が届くのですが……、
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こっちはさすがにディスプレイかな?
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 (写真は2018年8月のもの)

Page One 北京坊」の3階の大きな窓からは、正面に正陽門(前門)が見えます。夜にはライトアップもされてとても壮観です。 
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(これは昨年の写真。2019年8月現在、正陽門は大規模修繕中でシートに覆われていました)
 Page One 北京坊で店員Sが気になった本《因为我有生活 电影艺术师杨占家从艺录》(北京聯合出版)
『霸王別姬』『臥虎藏龍(グリーン・デスティニー)』『東蛇西毒楽園の瑕』『夜半歌聲夜半歌聲 逢いたくて、逢えなくて)』など、数々の傑作華語映画作品の美術を手がけた楊占家さんの仕事と生活哲学、のようです。映画セットのスケッチなども多数収録。ほ、欲しい……。
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●Page One 北京坊
西城区廊坊頭条13号院1号楼1-3階


2019年夏版 店員Sの北京書店めぐり、まだ続きます。

「2019年夏版 店員Sの北京書店めぐり その2」は→ こちら
(王府井書店、鍾書閣、万聖書園、南鑼書店) 

「2019年夏版 店員Sの北京書店めぐり その3」は→ こちら
南鑼書店、正陽書局、紅楼公共蔵書楼

「2019年夏版 店員Sの北京書店めぐり その4」は→ こちら
模範書店+詩空間PageOne太古里店三聯韜奮書店