前回まで3回にわたってお送りしてきた、店員Sの北京市内の書店めぐり、最終回です。

 前門の楊梅竹斜街に、「模範書局」という書店があります。民国時代に新聞社や文具店として使用されていた、灰色のファサードの美しい老建築に開業。店の中身も、民国時代の文芸やアートをテーマにした書籍や雑貨などを販売するこだわりの書店だそうです。

 今回、行ってみたら、店の前の道をガンガン掘り返して整備中(この状態で道を通行止めにしないところが、さすが、中国。この辺は20年前と変わりません)。店の外観写真も撮れないどころか、掘り返された石や土の山を乗り越えて何とか入店しても、騒音がひどくて落ち着いて店や本を見ることもできません。早々に立ち去ることにしましたが、ふと、店内に展示してあった雑誌で目にしたのが、模範書店の新しい店舗がオープンした、という記事。しかもなんと、築100年以上の古い教会を改装して出店ということです。これは行ってみないと!

築100年の教会を使った古跡文芸書店

【11軒目】 模範書局+詩空間
 ということで、前門から長椿街まで、地下鉄を乗り継いでやって来たのが、佟麟閣路にあるこちら「模範書局+詩空間」。
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 建物は、1907年に建築の基督教中華聖公会教堂」。外観は西洋風+中華風のミックスです。華北地域(中国北部、北京市、天津市、河北省、山東省などをさす)で最も早く建てられたプロテスタント教会で、「全国重点文物保護単位(重要文化財)」に指定されています。
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 「模範書局+詩空間」の中に入ります。礼拝堂そのままです。
 外側は北京の建築によく見られる灰色の煉瓦で覆われていましたが、中から構造を見ると、実は木造なのですね。質素ともいえるシンプルさですが、美しいです。
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(が、かなりカビ臭くて、アレルギーのないSですら鼻ずるずるになったので、行く人はお気をつけください)
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 ホール両側に書架があります。

 こんな“印刷プチ博物館”的なスペースがあって、東西のレトロな印刷機が展示してあります。
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 店内のテーブルに、いくつかこのように、一推しの(らしい)本が集めて積んであったのですが、Sにはそれぞれのテーブルの特集テーマがいま一つ読み取れませんでした。
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 「猫」特集? と思いきやそうでもない……。
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 このラックのテーマは分かりやすいですね。
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 もちろんカフェもありますよ。
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 ホール一番奥、教会時代は、祭壇の裏のあたりがこんなカフェになっています。

 「模範書局+詩空間」の雑貨コーナーは、雑貨コーナーと言うか骨董屋さんでした。
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 こちらは模範書局オリジナルのバッグ(写真左)。「民国」をテーマにしている書店だけあり、民国時代を舞台にした映画の中で、女子学生が持っているような素材と色味がいいです。
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(バッグだけの写真を撮りたかったのですが、いくら待っても、後ろのお姉さんの店内の鏡を利用しての自撮りタイムが終わらないので、しびれが切れていっそお姉さんごと撮りました)

 たぶん、いま北京で一番新しい/そして古い、インスタ映えするブックスポットの一つだと思うので、新しもの好き、古いもの好きの方は行ってみる価値ありです(ただし、カビにアレルギーある人は要注意です)

「模範書店+詩空間」
西城区佟麟阁路85号


おしゃれショッピングモール内のブランド書店

【12軒目】 PageOne 太古里店
 ラストは三里屯。もともと、在住外国人の好むバーがたくさん集まっていて、北京の若者にも人気(六本木みたいですね)の地域です。
 若者に人気のブランドやショップが集まるおしゃれショッピングモール(六本木ヒルズみたいですね)三里屯太古里の中に「PageOne太古里店」があります。
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 1本目の記事 (こちら) で紹介したPageOne前門店ほど大きくはないですが、1Fは大判の美術書やビジュアル書、2Fは小説、児童書などの一般書売り場やカフェがあります。
 こちらは1F。
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 2Fの新刊書コーナー。米国の書店のような雰囲気です。
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 2F店頭の一番目立つ場所で、中国でも大人気の東野圭吾作品の大特集ディスプレイを展開していました。
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 カフェコーナー。ゆったりとしていますね。
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「模範書店+詩空間」
西城区佟麟阁路85号


24時間営業の「密度の高い」国営書店

【13軒目】 三聯韜奮書店
 PageOne太古里店の少し北側にある国営書店「三联韬奋书店」(以下「三聯韜奮書店」と表記)
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 店に入ると、圧倒されるような本の詰まり具合です。
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 店内は回廊式になっていて、詰まり具合の割には本は見やすいかなと思います。24時間営業です。
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 ところで、北京の書店で、同じ本が何冊も棚差ししてあるのが気になっていました。特に大型の国営書店でそれが顕著でした。
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 余華『兄弟』や、大傑作『許三観売血記(邦題:血を売る男)が、それぞれ5~6冊並んでいます。
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 こちらO・ヘンリー、モーム、ユーゴ―など、欧米の名作のコーナー。
 日本や台湾の書店に慣れていると、こういうのはちょっと“怠慢”のように見えますね。

 でも今回、北京の大型すぎる書店をたくさん回っているうちに、中国の書店のような大型店では、1冊1冊を細かく管理するより、補充の手間が省けて、この方が合理的なのでは?と、ふと気がつきました。売れ行きの良い本の店頭在庫が品切れにもなりにくいので、読者にとっても良いことなのかも。
 ところ変われば「良い棚」の作り方も変わってくるんですね。

「模範書店+詩空間」
西城区佟麟阁路85号



 最後の写真は、地下鉄駅出口などによく出ている「書報攤(新聞・雑誌スタンド)。中国の書店では雑誌を扱わず、このようなスタンドで販売しています。
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 と、いうことで、店員Sの北京書店めぐり2019夏、ここまでです。


 記事内では13軒の書店をご紹介しましたが、実際にはここでご紹介していない(するほどではなかった)スポットも含めると、実質2日間で20軒ほど訪問しました。
 北京は大きいですが、今回、Sはすべて地下鉄&徒歩で移動しています。
 北京ではいま、路のどこにでもシェアサイクルが溢れていて、市民の多くがシェアサイクルで移動しています。地図アプリの「百度地図」で行きたい場所への経路を検索すると、「地下鉄駅を出た後は自転車で●分」などの提案が出るほど、市民の足として普及しています。自転車好きのSもぜひ利用したかったのですが、残念ながら、こちらも中国の電子マネーアプリで支払うようになっているので、使えませんでした。


 北京の書店を巡って感じたことをざっくりまとめると、
 ・台湾や香港と違い、個人経営の小さな書店はまだあまり多くない
 ・民営書店も国営書店も、とにかく大きい
 ・中国の書籍の紙質やカバーデザインは進歩していて、ジャケ買いするレベル

 ということです。
 
 ちなみに今回巡った中で店員Sが一番好きだったのは、「その3」の記事でご紹介した「正陽書局」「紅楼公共蔵書楼」です。

 みなさんも北京に行く際には、お好みの書店にお立ち寄りください。


「2019年夏版 店員Sの北京書店めぐり その1」は→ こちら
 (西単図書大大廈、西西弗書店 SISYPHE、MUJI HOTEL BEIJING 内 BOOK LOUNGE、Page One 北京坊店)

「2019年夏版 店員Sの北京書店めぐり その2」は→ こちら

  (王府井書店、鍾書閣、万聖書園)
 

「2019年夏版 店員Sの北京書店めぐり その3」は→ こちら
  (南鑼書店、正陽書局、紅楼公共蔵書楼)