『遺恨』 鍾曉陽(ジョン・シャオヤン)
2018年 新經典文化出版社 428頁
文字数:中文約180,000字

「人生若無悔恨,那該多無趣。小說亦然。」
   人生において、悔いが少しもないならば、どんなにつまらないことか。
   小説も然り。
 映画監督 王家衛(ウォン・カーワイ) 推薦文

Regrets
                      
 1982年、宝石販売商である黄一族のばあさんが亡くなったことで、ストーリーの幕が開く。イギリスのサッチャー首相が北京を訪問し、香港の未来に変化をもたらした年だ。

 中学校の教師を務める于一平(ユー・イーピン)は、何年も会ってない叔母で、巨富の商人、黄景嶽(ホァン・ジンユィ)の妻である于珍(ユーチェン)の電話を受ける。そこから一平は、従姉妹の寶鑽(バオジュアン)と金鑽(ジンジュアン)、養子・静堯(ジンヤオ)、そして身分の曖昧な若者・程漢(チェンハン)との間で、複雑で錯綜した関係を展開することになり、運命が大きく変化していく。
 豪族の遺産争奪、身代金のための殺害、兄妹不倫の愛など、返還直前の1994年までの香港の黄金時代を、一代貴族の盛衰と波乱を通して見事に描いた。

 1996年に発表した長編小説『遺恨傳奇』を大幅に書き換え、『遺恨』という名に変更した本作は、今から振り返れば、予言でもあり、輝いた香港への思いがしっかり記録されている作品と言える。

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鍾曉陽
小説家・作詞家。1962年広州生まれ後、直ちに父母と香港移住した。アメリカAnn Arborミシガン大学で映画と映像学専攻。15歳より小説を創作しはじめた。デビュー作『停車暫借問』は、文壇の驚嘆に値して、「張愛玲の継承者」と言われた。有名な作詞家でもあり、香港映画『花様年華』『2046』のセリフも手掛けた。短編小説には『流年』『愛妻』『哀歌』、詩集には『槁木死灰集』などがある。

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(エリー)