黄崇凱『冥王星より遠いところ』
明田川聡士 訳、書肆侃侃房

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台湾原書:『比冥王星更遠的地方』逗點文創結社/2012年

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【概要】
 末期癌の母親に付き添う文学青年と、円満な家庭を持つ高校の歴史の教師。生活に消耗し、出口が見えない二人は、キーボードを打ち続けて、他人のストーリーを描くことで心身のバランスを取るしかない。
 ところが、この二人が書いた小説は、なぜか相手の人生そのものであったことが発覚。二人は「自分が造物主である」という究極の妄想に囚われ、ミクロな「記憶補完計画」が始まる。自分の人生は他人の手によって捏造されたものかもしれない? 現実と幻想の境界線はもう曖昧模糊になり、真偽がわからなくなる……。

 著者は、台湾で現在もっとも期待される若手小説家の一人。本作のフランス語版が2018年翻訳出版された。


【著者】黄崇凱(ホァン・ゾンカイ) 
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1981年1981年台湾・雲林生まれ。小説家。台湾大学歴史学部大学院卒後、出版社勤務(雑誌編集)。主な著作に、短編小説集『靴子腿(ブートレグ)』(2009)、長編小説『比冥王星更遠的地方(冥王星より遠いところ)』(2012)『壞掉的人(ビートニク。壊れちまった人)』(2012)。連作短編集『黄色小説(エロ小説)』(2014)で、台湾でもっとも権威のある『中國時報』開巻ベストテンに選出(80年代生まれ作家としては初)。『聯合文學』小説新人賞ほか、受賞多数。最新小説は『文藝春秋(文芸の栄枯盛衰)』。邦訳に短編小説「カピバラを盗む」(『たべるのがおそいvol.3』所収。台湾では単行本未収)がある。