『辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿』  
原題:神探福邇、字摩斯 (名探偵フー・アル、字(あざな)はモース)
著者:トレヴァー・モリス (Trevor Morris/莫理斯) 訳:舩山むつみ
神探福邇、字摩斯_書影 辮髪の_カバー_完成版
左:香港版原書 知出版有限公司 2017年刊行 
右:日本版 舩山むつみ 訳 文藝春秋刊 2022年4月22日刊行

19世紀の偉大なる名探偵シャーロック・ホームズがもし、
清末の時代に生きた中国人だったとしたら……。
そして、彼が奇妙な事件を次々に解決したのが大英帝国の首都ロンドンではなく、
東の果ての植民地香港だったら……。

 ホームズとワトソンを、彼らとまったく同じ時代に生きた中国人とし、物語の舞台を香港にしたパスティーシュ作品。1880年代の香港の様子が生き生きと描かれ、ミステリーであると同時に、歴史小説にもなっている。

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【主な登場人物】
福邇(フー・アル)
姓は福(フー)、名は邇(アル)、字(あざな)は摩斯(ムォスー)
1854年、満洲八旗の鑲藍旗人の生まれ。西洋にも東洋(日本)にも留学の経験あり。イギリス植民地の香港島に住み、差館(警察)の顧問を務めている。水タバコや阿片を吸い、胡弓をひくのが趣味。八卦掌と太極拳の使い手で、武器は鉄扇。

華笙(ホア・ション)
姓は華(ホア)、名は笙(ション)、字は籥瀚(ユエハン=John)
1852年、福建省の医家の生まれ。もとは大清の軍人。負傷して帰郷する途中で、香港島に立ち寄り、薬剤店の医師として働き始める。武器は剣を仕込んだ杖。

鶴心(ホーシン) 福邇の小間使い。

グージャー・シン インド人の幫辦(警部)

王昆士ワン・クンシー/クインシー) イギリス育ちの中国人の幫辦   ……ほか


【収録作品】
一. 血文字の謎   
二. 紅毛嬌街  
三. 黄色い顔の男  
四. 親王府の醜聞  
五. ベトナム語通訳 
六. 買弁の文書  


【作者紹介】
トレヴァー・モリス Trevor Morris / 莫理斯 
莫理斯_著者近影
 1965年香港生まれ。香港大学法律学部客員副教授。英国ケンブリッジ大学法律学博士号取得。博士課程在学中の1988~89年香港基本法諮詢委員会に研究員として参加。
 2001年香港に戻り、映像業界に参入。ナショナルジオグラフィックやディスカバリーチャンネルのドキュメンタリー番組制作に参加。2005年香港初の3Dアニメーション映画《龍刀奇緣》の脚本、プロデュースを担当。2007年ディズニースタジオに招聘され、米中合作アニメーション企画を担当した後、独立し、映像クリエイター兼プロデューサーとして活動。
 香港の大手新聞《文匯報》にコラム「東拉西扯」を連載、単行本として刊行。本作で初めて中短編小説の執筆に挑戦。現在、本作の続編を執筆中。本作の映像化も自ら計画中。 
 香港映画界の人気女優で歌手でもあるのカレン・モク(莫文蔚) の実兄。

(作品紹介/翻訳者 舩山むつみ)