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王春子『雲豹的屋頂(仮題:ウンピョウのおくじょう)

 店員Kです。先日、店員Sちゃんが『雲之獸 來自遠古的守護者(仮題:雲の獣 いにしえからの守護者)という雲豹(ウンピョウ)が主役の漫画をご紹介しましたが、こちらも雲豹が登場する絵本です。

ある日、森に暮らすキリンのもとに、お友達の雲豹からお手紙が届きました。森を離れた雲豹、今は都会の屋上に暮らしているというのです。キリンは、思い切って雲豹を探しに行くことにしました。
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長い首を伸ばし、屋上をのぞきながら雲豹を訪ね歩くキリン。その背景に広がる街は、おやおや、どこか見覚えがありますね。そう、ここは台北。鳩小屋や給水タンク、増築されたトタンの小屋、ミツバチの暮らす屋上菜園に加えて、北門に台北郵便局、国立台湾博物館などのランドマークも登場します。台湾では絶滅したと言われている雲豹が、実は台北でどこかの屋上に暮らしていたなんて、なんとも夢のあるお話です。

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屋上にのっかった鳩小屋

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国立台湾博物館

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北門の前で、キリンはようやく雲豹に会えました

そのほかにも、台湾に暮らす動物たちが友情出演。王春子さんの手によって、どの動物もとてもチャーミングに描かれています。

イラストレーターとデザイナーをされていた作者の王春子さんは、お子さんが生まれたことをきっかけに、絵本の制作を始めたそうです。最新作は、家族でヨルダンに滞在して描かれた『大家來玩躲貓貓』(仮題:みんなでかくれんぼしよう)。その前には、鳥取を旅して『鳥取春散策』というイラストエッセイを出されています。

店員Kが初めて手にした王春子さんの作品は『討厭的颱風』(仮題:にくたらしい台風)。日本と同じく(あるいはそれ以上に)台風に苦しめられている台湾ですが、王春子さんはそんな台風を主役にすえ、発生から消散までの7日間を、台風の一生として描いています。
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また、こちらの絵本には、『偷偷養隻小颱風』(仮題:こっそり小さな台風を飼う)というミニ絵本が挿入されていて、人間と子ども台風の友情が描かれます。にくたらしいはずの台風なのに、だんだん小さくなっていく台風といよいよお別れという時、女の子が発する「大好き」の言葉に、しんみりしてしまいます。

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『雲豹的屋頂』には、絵本に登場する動物や構造物、『討厭的颱風』には、台風が発生し発達するメカニズム、また台風がもたらす恩恵などの情報がイラストつきで載っています。子どもたちだけでなく、大人も勉強になる絵本です。(K)
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絵本に登場する動物たち。ほとんどが台湾固有種

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給水塔の数々