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『發光的樹』(仮題:光り輝く木)
文:海狗房東
絵:猫魚
出版社:維京国際
刊行:2021年7月
原書:48頁 / 21.7 x 28 x 1 cm/フルカラー


光り輝く木の秘密 

わたしは光り輝く木。
夜は月光がわたしを輝かせ
秋のおわりには黄金色の葉がわたしを輝かせる。
月がやせ、星の出ない夜にも、私は光り輝く。
いつにもまして明るく。
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これはまだ、だれにも話したことのない秘密。
わたしは木であり、扉でもあるのだ。

この世界を想うたましいが、わたしの扉から帰って来る。
たましいたちは、それぞれいちばん幸せだった日にとどまって、幸福な光を放つ。

彼女は舞台に立った11歳10ヶ月24日目のあの日、
彼は子どもに会えた33歳5ヶ月7日目のあの日。
たましいたちの輝きが、わたしを輝かせる。
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もうひとつの秘密。
たくさんのたましいを見てきたけれど
犬のたましいだけは、ある一日にとどまっていない。
なぜなら、犬にとっては毎日が幸せにあふれているから……。
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いつか訪れる別れ。でも、もしも大切な人のたましいが、いつまでも幸福な記憶にとどまり続け、光り輝いていると知ったら、その悲しみはいくらか和らぐのではないでしょうか。

海狗房東が生み出す優しい想像の世界に、穏やかでありながら生命の強さを感じさせる猫魚のイラストが寄り添い、永遠の別れについて、人生について深く考えさせられる一冊。あなたの人生でいちばん幸福な一日は、いつですか? 
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文:海狗房東(海辺の犬の大家さん)
海辺で出会った犬を住人として迎え入れたため、このペンネームをつけた。宇宙の最小単位は原子ではなく、物語だと思っている。手がけた絵本はたびたび「好書大家讀」の推薦図書に選出。そのうちの一冊『花地蔵』で、「2018年度最佳少年兒童讀物獎」を受賞。母を亡くしたカエルくんが前へ一歩踏み出す様子を描いた絵本『媽媽是一朵雲』では、リン・シャオペイとコラボしている。『媽媽是一朵雲』は邦訳の刊行が決定。


絵:猫魚(蔣孟芸)
イラストレーターとして数々の書籍にたずさわる。疲れを感じた時には、猫のおなかか犬の鼻を触ればたちまち元気になる。2019年ボローニャ国際絵本原画展に入選。

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