日本国外から漫画作品を募集して優れた作品を表彰する「日本国際漫画賞」という賞があるのを知っていますか? 日本政府外務省が主催して、昨年の募集で11回を迎えます。
(なぜ、漫画の賞を経済産業省や文化省ではなく「外務省」が主催?というと、2007年、当時の麻生外務大臣――漫画好きを公言していて、好きな作品は『ゴルゴ13』だそうです――の発案で設立されたからです)

第1回の最優秀賞受賞者は香港のベテラン作家・李志清氏第2回最優秀賞はやはり香港の劉雲傑氏が受賞。台湾の作家さんも、顆粒Coryさん(第5回優秀賞)張放之さん(第4回入賞)林亭威さん(第5回入賞)常勝さん、AKRUさん(第6回入賞)61Chiさん(第8回優秀賞)搖滾貓さん、李隆杰さん(第9回優秀賞)雅紳さん、阮光民さん(第9回入賞)左萱さん(第10回入賞)KINONOさん、葉羽桐さん(第11回入賞)など、たくさんの受賞・入賞者が出ています。

その第11回の授賞式が、2018年2月23日東京・飯倉公館で行われました。今年、最優秀賞を受賞したのは、コロンビアのゲーラ・ディアス氏作、パブロ・ゲーラ氏原作の『WO ALDOS(二人のアルド)』でしたが、台湾の作家・SALLYさんの作品『左手』が優秀賞を受賞しました
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SALLYさんの『左手』はこんな話。
 6歳の小霖(郭岳霖)は、ピアノ教室で同い年の男の子と左手を交換(!)する。
 苦手だった左手での演奏がうまくできるようになって喜ぶ小霖だが、その左手が、ときどき自分の意志に反して悪戯をすることに気づく。
 男の子を探して左手を返そうとするも、彼は海外に移住してしまっていた。
 十年後、高校生になった小霖は、すでにピアノは辞めていたが、相変わらず意図しない行動をする左手に困っていた。
 ある日、クラスに海外からの転校生・林雋育がやってくる。
 ピアノが上手な
が、自分がかつて左手を交換したあの男の子であると気づく小霖。
 だが、周囲を気にせず行動する雋育は、たちまち生徒会長とその取り巻きたちのイジメの対象になり……。

『左手』紹介動画 (動画制作:SALLY)





一人の男子高校生が生きるリアルな生活(学校生活、進路、アイデンティティ、いじめetc)とファンタジー(腕を交換、妄想etc)が、違和感なく入り混じったユニークな作品です。甘すぎない画風は、日本の作家さんで言うと羽海野チカさんあたりの雰囲気でしょうか。カット割りや、白黒のバランスにメリハリがあり、読んでいてとても引き込まれます。


さて、その『左手』の作者・SALLYさんが、今回、授賞式に出席するため来日されたので、太台本屋 tai-tai books店長エリーがお話を聞きました
そのインタビューを、中国語と日本語の“雙語”(二か国語)でお送りします!

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Q.可以請您先談談這次獲得第11屆日本國際漫畫獎Silver Prize的心情或感想嗎? 
   まず、今回第11回日本国際漫画賞で優秀賞を受賞した感想を聞かせてください。

SALLY:
「我只有學生時代有拿過其他方面的獎,漫畫還是頭一次,而且還是日本的獎,很感謝也很驚喜」
「学生時代には別のジャンルで賞をもらったことはありますが、漫画に関する賞は初めてです。しかも日本の漫画賞、本当にありがたい気持ちでいっぱいで、かつ、とてもびっくりしました」


Q.來了一趟日本參加頒獎典禮及觀光、參訪等,和1月獲選法國安古蘭漫畫節的代表台灣漫畫家赴法,這兩趟旅行各給了您什麼樣的刺激或養分,或觀察。
 今回、国際漫画賞の授賞式で来日され、その後、日本での観光や出版社訪問などもされたそうですね。また今年の1月末には、フランスの「アングレーム国際漫画祭」にも、台湾の漫画家の代表として参加されました。この2回の行程で、刺激を受けたこと、得たもの、気が付いたことなどがあれば、教えてください。

SALLY:
「以往是以作品來發表,這次日本和安古蘭漫畫節都有一些是以我(人)發表,有點不習慣但也是新嘗試?主要是認識一些原本不認識或沒機會認識的作者,藉由一來一回的對話有時會發現有趣的內幕或細節,還有不同國和各個種類的漫畫如何被呈現或應用,有收穫也有更多疑惑XD」
「今までは、作品にフォーカスして紹介されることが多かったのですが、今回の日本国際漫画賞とアングレーム国際漫画祭は、私自身をメインとして紹介されました。少し戸惑いましたが、これもいい経験です。(漫画賞授賞式や漫画祭では)新しい人と知り合えたり、このような場でなくては出会えなかった人とも会うことができたりします。そうした人々と直接話すことによって、それぞれの作家さんのおもしろい裏話などを知ることができました。
また、国や作品のジャンルの違いによって、漫画の表現方法や、その使われ方が大きく違うことも知りました。収穫が多かった一方、さらなる疑問もたくさん生じました(笑)」

アングレーム参加のために製作されたSALLYさんの紹介動画


Q.您原本是學建築的,可否談談為何走上漫畫家之路,及一路走來的創作甘苦。
 大学で建築を先行したとのことですが、その後、なぜ漫画家になろうと思ったのでしょうか? 実際に漫画家になってみて、良かったこと、大変なことがあれば、教えてください。

SALLY:
「建築是大學才唸的,不過漫畫是從小看和畫的XD,因為是唸理工類組,和畫圖有關的就建築啦XD 我喜歡前面的亂想故事,以及最後的畫完,其他中間都很煩,可是沒有中間,前後就沒意思了XDXD」
「建築は大学に入ってから初めて学んだものですが、漫画はそれよりだいぶ前、小さい時からずっと読んできているし、ずっと描いてきています。選考に建築を選んだのは、受験するときに私は理系コースだったので、理工系の学部の中で“絵に関係する学部”は建築しかなかったからです(笑)。
漫画を描く工程の中で好きなのは、描く前にストーリーをあれこれ考えることと、描き終わった時の達成感です。その間の、実際に描く作業はとても大変ですね。でも、途中のその大変な作業がなかったら、描く前後の楽しみもなくなりますね(笑)」


Q.『左手』這部作品第2集,正在創作嗎?預計何時完成,何時出版呢?
  受賞作『左手』は、まだ完結していないですね。第2巻はいつ出版される予定ですか?

SALLY:
「對,正在畫,希望上半年或今年內能完成」
「はい、いま描いています。できれば今年前半、遅くても年末までに完成したいです」



SALLY(サリー)プロフィール
台北生まれ。小さい時から漫画を読むこと、絵を描くことが好き。大学で建築を学ぶが、夢を捨てきれず、漫画家の道を選ぶ。2005年「沈黙的勝負」でデビュー。以来『總管的慣例』『日日美好』「Peeping Theater—偷窺劇場—」「媒人事務所」『左手』などの漫画を発表した。新刊には『一起搭捷運,好嗎?(一緒にMRTに乗ろう)』(原動力文化)がある。

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(「その2」に続きます)