ここ数年、日本では「シェア型書店」「間借り書店」などと呼ばれる共同書店が増えています。
以下は、台湾最大手のネット書店「博客来」が運営する本に関するウェブメディア「Okapi 閱讀生活誌」に太台本屋 tai-tai booksが寄稿した、日本のシェア型書店に関する記事です。
日本のメディアでは既に多数報道されていますので、日本の本好きの皆さんはもうご存じの内容かもしれませんが、台湾の本好きの皆さんのために、日本の本周りの最新情報を紹介しました。
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ここは書店。壁一面の書架に、整然と(或いは雑然と)本が並んでいる。
だが、普通の書店ではない。書架が幅三十数センチごとに区切られ、ひと枠ごとにジャンルも雰囲気も異なるラインナップの書籍が置かれている。そのひと枠ひと枠が、それぞれオーナーの異なる一軒一軒の「小さな書店」だ。ここは、幾つもの小さな書店が入居する、いわば共同の書店スペースなのだ。
以下は、台湾最大手のネット書店「博客来」が運営する本に関するウェブメディア「Okapi 閱讀生活誌」に太台本屋 tai-tai booksが寄稿した、日本のシェア型書店に関する記事です。
日本のメディアでは既に多数報道されていますので、日本の本好きの皆さんはもうご存じの内容かもしれませんが、台湾の本好きの皆さんのために、日本の本周りの最新情報を紹介しました。
※記事のデータは取材時(2022年12月)現在のものです。
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ここは書店。壁一面の書架に、整然と(或いは雑然と)本が並んでいる。
だが、普通の書店ではない。書架が幅三十数センチごとに区切られ、ひと枠ごとにジャンルも雰囲気も異なるラインナップの書籍が置かれている。そのひと枠ひと枠が、それぞれオーナーの異なる一軒一軒の「小さな書店」だ。ここは、幾つもの小さな書店が入居する、いわば共同の書店スペースなのだ。
「シェア型書店」「間借り本屋」「棚貸し本屋」「共同書店」……など、いろいろな名称で呼ばれるこの形式の書店(以下、この記事では主に「シェア型書店 」と呼ぶ)が、2017年頃から東京、大阪などの大都市に出現し始めた。
2022年末現在、代表的な書店だけを挙げてみても、東京では神保町の「PASSAGE by ALL REVIEWS」」や「猫の本棚」、下北沢「BOOKSHOP TRAVELLER」、渋谷「渋谷〇〇書店」、西日暮里「BOOK APARTMENT」、吉祥寺「BOOK MANSION」などがあり、大阪には「みつばち古書部」「KENKADOU」などがある。その他、北海道、奈良、九州など、地方にもシェア型書店が誕生している。
書店は減っているが
「書店を開きたい人」は増えている
2022年末現在、代表的な書店だけを挙げてみても、東京では神保町の「PASSAGE by ALL REVIEWS」」や「猫の本棚」、下北沢「BOOKSHOP TRAVELLER」、渋谷「渋谷〇〇書店」、西日暮里「BOOK APARTMENT」、吉祥寺「BOOK MANSION」などがあり、大阪には「みつばち古書部」「KENKADOU」などがある。その他、北海道、奈良、九州など、地方にもシェア型書店が誕生している。
書店は減っているが
「書店を開きたい人」は増えている
シェア型書店のシステムは店舗によって少しずつ異なるが、棚の出店者(以降「棚主」と呼ぶ)は、シェア型書店スペースの運営者(以降「運営者」と呼ぶ)に毎月の利用料を支払って棚を借り、自分が売りたい本を並べる。入会金などの初期費用がかかる場合や、本が売れた時に1冊につき〇円、または販売額の〇%などの販売手数料を運営者に支払うシステムの店もある。月額利用料は、東京では3000円~1万円台と幅があるが、5000円前後のところが多い。関西では月額使用料を数百円と安く抑え、販売手数料を20~30%と高めに設定する方式が多いようだ。
シェア型書店の棚は、出版社や独立書店がサテライト的に出すもの、作家や書評家などが出すもの等、本の「作り手」側が出店している場合もあるが、大多数は“本好き”の個人が棚主だ。
借りた棚に本を並べることによって、自分が好きな作家の作品をもっと多くの人に知ってもらいたい、自分が選んだ本の組み合わせのセンスを見てもらいたい等、本好きな人々の本にまつわる愛情と趣味の発露の場所となっていると言ってもいい。
2000年代初めに台湾や日本で、50センチ立方程度のボックスに、ホビー品やクラフト品を並べて販売する「レンタルボックス」「レンタルショーケース」が流行ったが、台湾の読者は、その書籍版をイメージしてもらえばいいかもしれない。
(ちなみに、台湾ではこのようなレンタルボックスのことを「格子趣(グーツチュウ)」と呼んでいるので、中文記事ではシェア型書店のことを「格子書店」と呼ぶことにした)
借りた棚に本を並べることによって、自分が好きな作家の作品をもっと多くの人に知ってもらいたい、自分が選んだ本の組み合わせのセンスを見てもらいたい等、本好きな人々の本にまつわる愛情と趣味の発露の場所となっていると言ってもいい。
2000年代初めに台湾や日本で、50センチ立方程度のボックスに、ホビー品やクラフト品を並べて販売する「レンタルボックス」「レンタルショーケース」が流行ったが、台湾の読者は、その書籍版をイメージしてもらえばいいかもしれない。
(ちなみに、台湾ではこのようなレンタルボックスのことを「格子趣(グーツチュウ)」と呼んでいるので、中文記事ではシェア型書店のことを「格子書店」と呼ぶことにした)
台湾と同様、日本も出版不況と言われて長い。2022年の日本の書店店舗数は1万1952店(日本インフラセンター調べ)で、2012年からの10年間で約3割減少している。特に2020年以降は新型コロナウイルス流行の影響で、チェーン書店の支店や、街の個人経営書店の閉店が相次いだ。
一方、個人が独自のスタイルや選書で運営する「独立書店」は、明らかに開業が増えている。台湾では、独立書店開業や経営に政府の助成金が得られ、独立書店専門の書籍取次組合「友善書業供給合作社」も存在するなど、独立書店開業をバックアップがする環境が、日本よりは整っている。日本はそのような恵まれた(?)環境にはないが、それでも「自ら書店を開いてみたい」と思う人々は、台湾と同様、増えているのだ。
東京のシェア型書店の先駆け
BOOKSHOP TRAVELLER
東京のシェア型書店の先駆け
BOOKSHOP TRAVELLER
「シェア型書店は、“本を売る場所”をローリスクで開業できる新しい形です。シェア型書店が出現する以前に、個人が“小さな本屋さん”としてリアルで本を売れる機会は、各地で開催される『一箱古本市』などがありました。一箱古本市の発祥地である不忍ブックストリートでは、一部の本好きの人々が、一箱古本市終了後、馴染みの古書店に委託して自分の蔵書を売ってもらうことがあったようです。現在のような『月額制』のシェア型書店は、2017年に大阪で始まった『みつばち文庫』が最初だと言われています」
そう話すのは、『東京 わざわざ行きたい街の本屋さん(台湾版タイトル:好想去的130間東京街角書店)』『全国 旅をしてでも行きたい街の本屋さん(台湾版タイトル:閱讀職人帶路的日本特色書店)』等の著作がある、日本全国の独立書店事情に詳しい「本屋ライター」の和氣正幸さんだ。
和氣さん自身、東京・下北沢でシェア型書店「BOOKSHOP TRAVELLER」を運営している(2023年4月に祖師ヶ谷大蔵に移転予定)。
和氣さん自身、東京・下北沢でシェア型書店「BOOKSHOP TRAVELLER」を運営している(2023年4月に祖師ヶ谷大蔵に移転予定)。
↑BOOKSHOP TRAVELLER 和氣正幸さん
BOOKSHOP TRAVELLERは、2018年オープン。東京のシェア型書店の先駆けと言っていい。
古いビル内の、カフェが同居するスペースの一角に、和氣さんと棚主たちが杉板でDIYした30ほどの木箱を積み上げてシェア型書店をスタートした。はじめは知り合いの本好きや独立書店に声をかけて出店してもらい、「本屋を紹介する本屋」のような場にしていた。1年ほど経って箱を50~60個に増やしたところで、個人の棚主も募集し始め、現在の場所に移った際に更に100箱ほどに増やした。
現在、100ほどある棚のうち、約半分は作家、翻訳者、出版社など「本の作り手側」のもの、半分は本好きの個人が出店しているものだ。英米文学翻訳者でエッセイストの岸本佐和子さんが翻訳作品を並べる棚や、バンドデシネ翻訳者の原正人さんが主編を務める海外コミックスの翻訳レーベル「サウザンコミックス」の棚もある。
個人の棚主の棚は、旅をテーマにした棚、「狛犬」に関する本を集めた棚、自分の推しのSF作家ジェイムズ・P・ホーガンの作品だけを集めた棚など、個性豊かだ。本のラインナップを通し、棚主たちそれぞれの趣味や、本への愛が見えてくる。棚貸しの他、和氣さん自身がセレクトした、書店、出版関連、アジア文学などの新刊本も多数置いている。
↑旅に関する本を集めた「街々書林」
↑狛犬に関する本を集めた「ミノキチブックス」
↑ジェイムズ・P・ホーガンの作品だけを集めた「LIBRIS」
BOOKSHOP TRAVELLERで最もよく売れる本は、短歌の歌集だ。3人組の歌人ユニット「うたとポルスカ」が棚主として出店し、その棚の周辺に、彼らが選書し、和氣さんが仕入れた歌集を並べている。日本では近年、現代短歌が若い人を中心に人気を集めている。毎年多数の歌集が出版されているが、その多くは自費出版、或いはZineであることから、チェーン書店などに並ぶことは少ない。
↑3人組の歌人ユニット「うたとポルスカ」の棚。
↑3人組の歌人ユニット「うたとポルスカ」の棚。
「うちは、歌集の同人誌の品ぞろえはおそらく東京で一番でしょう。『うたとポルスカ』さんがSNSで新刊の入荷を告知するたびに、短歌ファンがどっと来店します」
(和氣さん)
(和氣さん)
サブカルチャーの聖地ともいわれる下北沢。老舗の小劇場やライブハウス、古着屋、雑貨屋、カフェ、飲み屋などがごちゃごちゃと雑居し、若者が集まる土地柄、来店者は10~20代が多い。
BOOKSHOP TRAVELLERでは、基本的に運営者の和氣さん本人が店番をしているが、最近、来店者に「オススメの本がありますか?」と聞かれるなど、若い人の本に対する興味が以前より高まってきたと感じているという。
* * *
BOOKSHOP TRAVELLERでは、基本的に運営者の和氣さん本人が店番をしているが、最近、来店者に「オススメの本がありますか?」と聞かれるなど、若い人の本に対する興味が以前より高まってきたと感じているという。
BOOKSHOP TRAVELLER
東京都世田谷区北沢2丁目30−11北澤ビル3F奥(最寄り駅:下北沢駅)
※2023年4月に祖師ヶ谷大蔵に移転予定。
※2023年4月に祖師ヶ谷大蔵に移転予定。
営業日/時間:月・火・金・土・日12:00~19:00 (水・木休)
棚の利用条件:入会金など なし、月額利用料5000円、販売手数料 なし
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渋谷駅直結の複合ビルにも
シェア型書店「渋谷〇〇書店」が
「BOOKSHOP TRAVELLER」が、東京都心部から少し離れた下北沢にあり、店内も良い意味で手作り感満載の雰囲気なのに対し、再開発で高層ビルが林立するようになった渋谷駅目の前、駅直結のビル「渋谷ヒカリエ」にも、2021年11月にシェア型書店「渋谷〇〇書店」がオープンした。
ヒカリエはオフィス、劇場、服飾や雑貨の店舗や飲食店などが入った東急系のハイセンスな複合施設だが、その8階がギャラリーやイベントスペース、コワーキングスペースなど、カルチャーに特化したフロアとなっている。その8階のガラスで仕切られた一角にあるのが、渋谷〇〇書店だ。
白い壁が印象的なミニマルな空間、その両側の壁に130の棚が並んでいる。入り口を入ってすぐ右手の壁、130人の棚主が1冊ずつ選んだイチオシ本がずらりと面陳されているエリアは、書店と言うよりアートギャラリーのような雰囲気だ。そこに並ぶ書籍の数々を眺めるだけでも、棚主の趣味や方向性が多種多様であることが感じられる。
シェア型書店「渋谷〇〇書店」が
「BOOKSHOP TRAVELLER」が、東京都心部から少し離れた下北沢にあり、店内も良い意味で手作り感満載の雰囲気なのに対し、再開発で高層ビルが林立するようになった渋谷駅目の前、駅直結のビル「渋谷ヒカリエ」にも、2021年11月にシェア型書店「渋谷〇〇書店」がオープンした。
ヒカリエはオフィス、劇場、服飾や雑貨の店舗や飲食店などが入った東急系のハイセンスな複合施設だが、その8階がギャラリーやイベントスペース、コワーキングスペースなど、カルチャーに特化したフロアとなっている。その8階のガラスで仕切られた一角にあるのが、渋谷〇〇書店だ。
白い壁が印象的なミニマルな空間、その両側の壁に130の棚が並んでいる。入り口を入ってすぐ右手の壁、130人の棚主が1冊ずつ選んだイチオシ本がずらりと面陳されているエリアは、書店と言うよりアートギャラリーのような雰囲気だ。そこに並ぶ書籍の数々を眺めるだけでも、棚主の趣味や方向性が多種多様であることが感じられる。
「渋谷〇〇書店」というちょっと変わったスペース名は、「みんなの『偏愛』を集めた新しい本屋さん」というこの場所のテーマの通り、「〇〇」の部分に、それぞれの棚主が自分の棚のコンセプト=偏愛するものを入れて、それぞれの店名を名乗るようになっている。
本屋がなくなりつつある渋谷に
”みんなで運営する本屋”を作ってみた
本屋がなくなりつつある渋谷に
”みんなで運営する本屋”を作ってみた
「渋谷〇〇書店」を企画運営しているのは、「働き方」をテーマにした各種のプロジェクトのプロデュースを行っている横石崇さん。この場所を始めたきっかけについて、こう話す。
「本屋が大好きなんですが、渋谷からどんどん本屋がなくなってしまって。駅前に本屋がないと渋谷は渋谷らしくなくなってしまうのではと周囲に吹聴していたんです。そんなとき、たまたまヒカリエの担当者から、コロナ流行の影響でこのスペースになかなかテナントが入らない状況もあるので、『書店を開くのはどうですか?』と声をかけてもらいました。でも一人で書店を開くのは不安だったので、『みんなで本を持ち寄って、みんなで運営する』というコンセプトでやってみたらどうだろうと考えました」
↑「渋谷〇〇書店」を企画運営する横石崇さん(写真は横石さん提供)
シェア型本屋は、本業の書店員が
「お金を払ってでも本を売りたい」場所
オープン準備のマーケティングリサーチも兼ねてクラウドファンディングを行ったところ、74人の支援者から目標の100万円を超える金額が集まり、先行で募集した35枠の棚もほぼ埋まった。オープン1か月前の正式な棚主募集では、Twitter上だけでの告知だったにもかかわらず、申し込みが殺到した。運営者の横石さんも「事前の想像をはるかに超える勢いで驚いた」と言う。
それ以来、オープンから1年経つ2022年12月現在まで、130の棚は常に満室状態。オープン時に入居した棚主の約9割が継続して棚を借りている。棚の空きが出た場合は、毎月初旬に新規の棚主を申し込み先着順で募集するが、毎回ほぼ秒殺に近い速さで埋まる。
シェア型本屋は、本業の書店員が
「お金を払ってでも本を売りたい」場所
オープン準備のマーケティングリサーチも兼ねてクラウドファンディングを行ったところ、74人の支援者から目標の100万円を超える金額が集まり、先行で募集した35枠の棚もほぼ埋まった。オープン1か月前の正式な棚主募集では、Twitter上だけでの告知だったにもかかわらず、申し込みが殺到した。運営者の横石さんも「事前の想像をはるかに超える勢いで驚いた」と言う。
それ以来、オープンから1年経つ2022年12月現在まで、130の棚は常に満室状態。オープン時に入居した棚主の約9割が継続して棚を借りている。棚の空きが出た場合は、毎月初旬に新規の棚主を申し込み先着順で募集するが、毎回ほぼ秒殺に近い速さで埋まる。
渋谷〇〇書店以外のシェア型書店でも聞いた話だが、棚主には、本業で書店員をしている人も多いという。大手書店やチェーン書店などに勤務している場合、店の方針や客層などの制限があり、自分が本来売りたいものを仕入れたり売ったりすることができない書店員さんも多いのだろう。シェア型書店の棚では、自分が本当に人に薦めたい本だけを並べる自由がある。“プロの本の売り手”が、お金を払って棚を借り、趣味で本を売る――シェア型書店の棚主になることは、本好きにとってたまらない魅力があるようだ。
* * *
シェア型書店では、客の対応やお金のやりとりなどの「店番」について、2つの方式がある。前出の下北沢BOOKSHOP TRAVELLERや、この後に紹介する西荻窪BREWBOOKSは、運営者側のスタッフが常駐し、店番をする方式の店だ。一方、渋谷〇〇書店のように、棚主が交代で店番をする方式の店もある。
渋谷〇〇書店の棚主になるには「3か月に1度は店番をする」という条件があり、実際に多くの棚主が自主的に希望して店番を務めている。同書店のホームページに当たるオフィシャル「note」には、「店番をする棚主がいない日は、休業となることがある」との説明があるが、今まで、毎週水曜の定休日以外で、店番希望者がいなくて休業した日はない。
シェア型書店に出店することは、入会金や月々の使用料、店によっては本が売れた場合の販売手数料が必要となるなど、金銭的なコストがかかる。棚を借りて本を並べても、必ずしも月に十冊、数十冊と売れるわけではないので、このコストが回収できている棚は多くはない。また、棚主が交代で店番をするシステムの店では、店番をすることは基本的には無給だ(当日の売り上げの一部が店番担当者に入る仕組みの店もある)。
それにもかかわらず、こんなにたくさんの人々が、競って棚を借りたがり、更には進んで店番までするというのは、シェア型書店の棚主になることには、いったいどんな魅力があるのだろう?
それにもかかわらず、こんなにたくさんの人々が、競って棚を借りたがり、更には進んで店番までするというのは、シェア型書店の棚主になることには、いったいどんな魅力があるのだろう?
台湾出身の棚主のお店
テーマはもちろん「臺灣」!
渋谷〇〇書店には、台湾出身の棚主さんの棚がある。
日本でエディトリアルおよびグラフィックデザイナーの仕事をしている周惠綺さんは、2021年12月、渋谷〇〇書店に「sumi book room」の棚を出店した。以来1年間、縦横37センチ、奥行き31センチの小さな書店を経営している。店のテーマは「臺灣」。
↑「sumi book room」を運営する周惠綺さん。
↑周さんの棚。取材当時のテーマは「視覚Visual」。
開店当初は台湾の歴史、文化、自然、思想などに関する台湾原書だけを並べた。その後は、お客さんの反応を見ながら、約2か月ごとに「食巡(食を巡る旅)」「漫画」「平權(ジェンダー平等)」などのテーマを設定して、本を入れ替えている。また、本職の能力を大いに発揮し、出品書籍の内容を詳しく紹介するリーフレットを制作、配布している。
↑棚のテーマごとに周さんが製作するリーフレット。テーマに沿った書籍が詳しく紹介されている。
↑「sumi book room」を運営する周惠綺さん。
↑周さんの棚。取材当時のテーマは「視覚Visual」。
開店当初は台湾の歴史、文化、自然、思想などに関する台湾原書だけを並べた。その後は、お客さんの反応を見ながら、約2か月ごとに「食巡(食を巡る旅)」「漫画」「平權(ジェンダー平等)」などのテーマを設定して、本を入れ替えている。また、本職の能力を大いに発揮し、出品書籍の内容を詳しく紹介するリーフレットを制作、配布している。
↑棚のテーマごとに周さんが製作するリーフレット。テーマに沿った書籍が詳しく紹介されている。
「以前からWEBショップで台湾の原書などを販売していましたが、雑誌の記事で『シェア型書店』のことを知り、興味を持ちました。その時、コロナの流行で仕事や交友が大きく制限される期間が続き、何か新しいことをやりたくなったのと、政府からもらった100万円の持続化給付金を何か意義のあることに使おうと考え、出店を決めました」(周さん)
台湾原書も多数並べた周さんの棚は、渋谷〇〇書店の棚の中でも、異彩を放っている。今までで一番売れたのは、台湾の文化を紹介するビジュアル雑誌『新活水』だ。
周さんは、月に2回は店番にも立つ。
「コロナで人と会う機会が減っていたので、店番は良いリハビリになっています。棚に並べる本のセレクトは、一種の“思想”だと思いますが、お客さんに『棚、面白いですね』と言われると、私の考えていることが第三者にも伝わった手ごたえが得られて、とてもうれしいです」
おこづかいでできる文化活動
「儲からないことは楽しい」
おこづかいでできる文化活動
「儲からないことは楽しい」
シェア型書店への出店や店番は楽しい、という周さんだが、自身の棚から売れるのは、月に2~4冊で、「正直に言うと、予想していたよりは売れていない」という。棚主でいるために、入会金(2021年入会当時4950円)、毎月の利用料(4950円)、売れた場合の販売手数料(100円)を支払っているが、このコストについて、周さんはどう感じているのか。
「『お小遣いでできる文化活動』というか、遊びだと思って、まあ納得しています。棚を通じて台湾のことを紹介できるし、本が売れると『人に必要とされている』と感じることができますから。そもそも、お金が儲からないことは楽しいんですよ(笑)」(周さん)
コロナで気分が落ち込んでいるときにここで棚主を始めて、とてもいい気分転換になった、という周さん。今後もこの場所で「sumi book room」を続けていくそうだ。
渋谷◯◯書店
東京都渋谷区渋谷2丁目21−1渋谷ヒカリエ8階 (最寄り駅:渋谷)
営業日/時間:12:00〜18:00(水休)
棚の利用条件:入会金9,900円、月額利用料4,950円、販売手数料1冊あたり100円
「アートブックとZINEに特化した渋谷〇〇書店 分室 byPOPAP」が、2023年2月、西武渋谷店 A館 4階にオープン。
「アートブックとZINEに特化した渋谷〇〇書店 分室 byPOPAP」が、2023年2月、西武渋谷店 A館 4階にオープン。
第2回:「渋谷〇〇書店」編
(文責 店員S)